ゲーマー回顧録

雑食ゲーマーが色々語る

すべてのゆめみるものたちへ【クロノクロス20thライブの感想】

タイトルの通りクロノクロス20thライブに参加して来たので感想というかレポートと言うか。相変わらず音楽の説明に際しての語彙に乏しいので備忘録のような感じ。

1/25の最終公演、中野サンプラザにて参加。その前の公演も応募してはいたのだが哀しみの落選。その後最終追加公演がみごと当選したのでこれはまさしく運命である。ゼノギアス20thに続き参加出来たのは幸運であった。

会場には昼過ぎに着いたのだがグッズは特に売り切れ等なく割と閑散としていた。ゼノギアスの時はイラスト展示などもあったので凄まじい人混みだったが、クロノクロスではそういったことが特に無かったからというのもあるだろう。展示物と言えばイメージイラストの大きなやつがグッズ売り場の近くに飾られていたぐらい。

ロビーにはクロノクロスのサントラが流されていた。

 

その後しばらくして入場の段階になって改めて驚く人の多さ。老若男女問わず、と言った感じで外国人の姿もちらほら。国を問わず未だなお愛されているのだろう。そして受け取ったサイリウムことエレメントの色は赤(と思っていたのだがエレメント発動させたら黒だったので焦った)。

肝心の席は5列目という近さ。ビビる。メンバー一人一人の動きから表情までが全部見えてしまう。ビビる。

 

ゲームの追体験、あるいはそれ以上の体験

ゼノギアスのコンサート同様、ゲームで聞く、サントラの順に従ったセットリスト。圧倒的な音と感動の波に飲まれて既に記憶があやふやな部分もあるのだが、演奏していない曲を挙げた方が早いレベルのカバー度合い。事実上サントラをライブで聴いているというよりそれ以上である。

 

始まりは時の傷痕から。思い出深いあのOP映像と共に最初からクライマックス。未だこれを超えるOP、あるいは単体の曲は存在しないと思っているぐらい好きな曲なのだが、ライブアレンジも最高だった。

そしてデモ画面で流れる時のみる夢からタイトル画面の神の庭。ボーカルはゼノブレのEDやクロノクロスのアレンジアルバム「ハルカナルトキノカナタヘ」などでお馴染みのサラ・オレインさんが担当していたのだが、これがもう言葉に表せないくらいの澄んだ音色でずっと聴いていたくなるほどであった。今回のライブのミュージシャンの方々はそれぞれ何かしらクロノクロスの登場人物を模していて、サラさんはそのまま「サラ・キッド・ジール」。そのままとは言うが本当にそのままなのだからこれ以上に述べようが無い。EDで見せる白いワンピースに編んだ長い金髪を赤いリボンで纏めたその姿がキッドで無くて何だと言うのか。

 

そこから再序盤の死線。ライブアレンジのテンションが凄まじく、こんなに飛ばしてるのに更にまだまだ続くのだから本当にすごい。

アルニ村はホームからパラレルワールドを移動するかのような演出を伴ってアナザーへのメドレー。そしてちょっと意外なチョイスの溺れ谷。

 

テルミナは別のバンドでアレンジされたもののリアレンジとの事だったがこれまたバンドにぴったりな曲。スタンディングのライブという事もありどんどん会場のテンションが上がっていったのを感じた。

影切りの森からの蛇骨館はあのちょっと不気味な雰囲気を伴いつつもそこから急に敵とのエンカウントをして疾風から勝利のファンファーレ。疾風は元から弦楽器が駆け巡るような曲なだけあってライブアレンジはもうノリノリ。

 

ガルドーヴに航海アナザーと続いて古龍の砦。シナリオ的にも急転するここでなんとサプライズとして次元の狭間がサラさんによるボーカルアレンジ。ハルカナルトキノカナタヘでも思ったのだが本当に綺麗な歌声でそれを生で聴けたのは本当に嬉しかった。単曲でもアルバム収録でもいいのでまた聴ける機会を下さい。

 

ここからシナリオ的には少し飛んで死海・滅びの塔。徐々にノイズがキツくなる死海の廃墟映像と共に乱れ狂うようなギターの演奏が完全にマッチしていた。

そしてクロノクロスでは外せない、運命に囚われし者たち。比較的シンプルなヴァイオリンメインの演奏だったのだが、バックにはあのミゲルとの会話戦闘シーン付き。ご丁寧に白でフィールドを埋めてセンシティブ聖龍剣をぶちまかます…のだが割と耐えててびっくり…ではなくて、思い出が蘇る1曲だった。照明、映像演出も曲とぴったり合っていて、曲が終わるタイミングで戦闘を終え、ミゲル達が消えて夕焼けだけが映るシーンと共にオレンジ色の照明が一斉にこちらを向く。当時プレイした時の何とも言えないあの感情が呼び起こされるようだった。

 

そして世界のへそ。疾風や死線なんかもそうだったがライブ向けというかそちらで魅力が引き出せそうな曲はかなりアレンジがかかっていて、新鮮さすらあった。パーカッション対決は半分ぐらい曲関係無しだった気がしなくも無いがそういった演出込みで楽しい一曲。

ライブならば絶対に外せないと思っていたエチュードからのMAGICAL DREAMERS。エチュード1、2の失敗演出まで見事に再現してくれていた。ゼノギアスコンサートの時も思ったのだが音楽の感動を言葉で表すのは本当に難しく、そして更にライブという会場の盛り上がりや雰囲気込みでの楽しさをとなるともう筆者の語彙では到底説明しきれない。MAGICAL DREAMERSはまさしくそんな感じの言葉では言い表せない一曲だった。

 

物語もライブも終盤へと向かいFATES 運命の神。そして炎の孤児院から星を盗んだ少女のメドレー、凍てついた炎と来て事実上のラスボス龍神。もうこの炎の孤児院辺りから感動の渦に飲まれて記憶がだいぶ怪しい。

原作の重要なエレメントの順を表した映像照明演出になっていて、そこに演奏も加わっていよいよクライマックス。

 

生命〜遠い約束〜、ではお約束通り観客達がそれぞれのエレメントを正しい順で発動…出来ず、セルジュは3回ほどお亡くなりに。その都度あらかじめ失われしともしびが流れる事に。

そしていよいよクロノクロス発動と共に曲がスタート。赤だと思っていたエレメントが実は黒というハプニングもあったがちゃんと黒のタイミングで発動出来ていたと思う。上の方からはハート形のライブロゴが入った紙が舞い飛び、筆者は運良くキャッチ出来た。

 

真のエンディングはここにあった

そんなこんなで気づけばついにエンディング、RADICAL DREAMERS 盗めない宝石。これが最高過ぎて今回のライブに来て本当に良かったと思う(ここまでの曲も最高だったのだがそれらよりも遥かに群を抜いて)。

ハルカナルトキノカタナタヘで既に英語歌詞でサラさんが歌っているので、今回はそれをライブアレンジ…と思っていたのだがまさかの日本語歌詞での演奏。

クロノクロスのエンディングと言えば時喰いの浄化後、時間も世界も違う場所でキッドがセルジュを探しているという事を示唆した実写ムービーが挟まる。そして今回のライブ、目の前で、サラ・キッド・ジールそのものの姿をしたサラさんが、あの盗めない宝石を、しかも日本語歌詞で歌ってくれているというのがもうエモさを極めていた。解釈の一致とかそういう次元ではない。真のエンディングはここにあった…。

曲の、エンディングの終わりにはムービーとマッチするよう背を向けわずかに振り向き…。

 

ミュージシャンがそれぞれ何のキャラクターを模しているか紹介する場面があったのだが、そこでキッドではなく「サラ・キッド・ジール」と紹介されていたのが本当に印象的だった。更にその紹介の中でエピローグでのキッドのセリフを言ってくれるというとてつもないファンサービス度合い。ここ以外にも挙げればキリが無いのだがこういった演出1つ1つが凝っていて、ファンとして嬉しい限り。

 

エンディングから続くアンコールでは登場回数1回の銅鑼と共にまさかの天晴驚愕大奇術団。そしてそのノリのままにゼルベス。

クロノマンティーク、航海ホームと中野だけ(?)の曲が続いて最後にはマブーレ。エレメントのカラーを模した巨大バルーンが飛んだり同じく銀テープが飛び交ったり最後までとにかく楽しいライブだった。

 

ゼノギアスの時も思ったのだが、20年前のゲームがこうして一つの作品だけでライブないしコンサートが開けるというのは、ファンも、製作者側の熱意も全て含めて本当に凄い事だと思う。哀しみを殺すのでも消すのでも無く癒す、それも音の力でというクロノクロスのラストにこれ以上なくマッチしていたライブだった。

 

ちなみに銀テープには光田さんからのメッセージが。

 

“もう一つの次元であなたは大切な人に逢えましたか?”

 

もはや答えを書く必要もあるまい。

 

最高のライブを、感動をくれた光田さんはじめミュージシャン、スタッフの方々全てに感謝を。