ゲーマー回顧録

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ゼノブレイド2【黄金の国イーラを終えての感想】

先日、ゼノブレイド2のDLC追加シナリオである黄金の国イーラが配信された。待ちに待った追加シナリオ、ひとまずメインシナリオをクリアしたので感想やらなんやらを書いていきたい。

勿論ネタバレを含むので注意。

 

洗練、進化したシステム面

いきなりシステム面について語るというのも変な話だが、DLCとは思えない程に色々変わっていたのでまずそれについて。

 

グラフィックの強化

公式でも触れられていたが、描画エンジンが変わり全体的に絵が綺麗になっている。イーラをプレイした後に本編を見ると物足りなくなる程その差は明らか。初めて実機で見た時にはゼノクロを思い出すグラフィックの雰囲気であった(次回作以降を見越して、とあったが果たして)。

背景だけでなくキャラクターの方もだいぶ変わっており、のっぺり感がかなり無くなっている。ただ、色が輪郭から滲んでいるのは調整中だからという事だろうか。

 

本編とは異なるバトルシステム

シナリオの設定上、ブレイドとドライバーの武器の受け渡しによる戦闘はこの時代で成立したとの事で、その辺りの流れがイーラで描かれる。そしてイーラ編ではそのスタイルが成立する前のシステムで戦闘を行う。

細かい説明は公式の方でされてるので省略するが、ブレイドも操作出来るというのは本編にはない楽しさだった。特にヒカリやカグツチ、ワダツミといった本編でも出てきたブレイドのモーションは必見。必殺技扱いだったものがアーツになっていたり、どこかぎこちない必殺技レベル4の動きだったり。

また、ブレイドコンボが簡略化されてわかりやすいのはいい点だった。ただ属性覚醒をする敵が多い事で調整されているため、チェインの重要度は増して高い。

本編との差としてタレントアーツの存在は大きい。キャラ毎固有で、どれも強力な性能を持つのだが(一部は空気)その大半がHPを消費して発動するため、CPU操作では大して攻撃を受けていないのに瀕死なんて事もざらにある問題児。しかし上手く使えば有利状況を作り出せる。例えばアデルはHPを25%消費してドライバーコンボの有効時間を延長でき、これをダウンあるいはライジングに合わせて連打する事で無防備な時間を十数秒以上作り出せる(筆者命名ハイパー陰険タイム、陰険と書いてアデルと読む)。メツでさえもドライバーコンボは入るのでずっと浮きっぱなし。なおカスミによりスマッシュされるのがオチである。

全体的にブレイドが大体棒立ちの本編に比べ(そちらの方が戦術として効率がいい理由はイーラ内で触れられる)、PT全体で協力して戦闘している雰囲気が味わえるのがかなり良かったと思う。

 

 

それにしても戦術成立が武器さえ買えない貧乏によるものだとは誰が予想しただろうか…

 

本編とは異なる雰囲気のBGM

イーラ編は物語の方向性が本編とはまた異なるため、それに合わせてか追加されたBGMもどこか落ち着いたお洒落なものになっている。

印象に残っているのを挙げていくと、まずグーラのBGMは本編のアレンジでありながら500年前の風景にピッタリくる。戦闘BGMはイントロが最高で、流れるようなピアノの旋律がテンションを上げてくれる。ラスボス戦のBGMも本編で関わりのある曲の一部が使われており、シナリオ的にもかなり盛り上がる演出だった。

…要するにサントラを出して欲しいのだが出るだろうか。期待したい。設定資料集なんかと一緒にぜひ。

その他細々とした改善点

要所要所でのボイススキップ実装。採集時などもボイススキップ出来るようになり、サクサク出来る。メンバーの都合上発動するフィールドスキルも一つの為、なお早い。

ユニークモンスターの墓のマップ表示。便利。

各種TIPSの見直し機能の追加。これは本編にも欲しかった…。ちなみにメンバー毎の戦い方のようなアドバイスも増えている。

改善というかPT固定のため、フィールドスキルなどでのエンゲージ交代の煩わしさが減った。同時にカスタマイズ性も落ちているので短いイーラ編に合っているとも言える。

 

本編の厚みを増してくれるシナリオ

システムについて書いたのでやっとシナリオについて。一言で表すならこれほどDLCの追加シナリオとしてふさわしい物はないだろう。もともと7章と8章の間に入る予定だったとの事なので納得も出来るのだが。本編での出来事の説得力が増し、より一層感情移入出来る。

シンが主人公とされているが彼に限らず各キャラクターについて描写されている。メインシナリオに加えてサブクエストでのシナリオも凝っている物が多く、そこでも各キャラクターの様々な面を見せてくれる。PT固定の良さはこの辺りにもあると感じた。

基本的に本編の回想を追いながらその間を補完しつつと言った形でシナリオは進む。どこまでイーラ編で見せてくれるのかと思っていたが、案の定アーケディアによる侵攻までが(最後はダイジェスト気味に)描かれた。

どうシナリオについてまとめるか悩んだが、本編のように章毎に書くのもあまり合わないと思うので、以下、各キャラクター毎に書いていく。

 

シン

シンは終始ラウラと共に、というのがかなりはっきり描写されていたが、そんな彼が本編でイーラを名乗っていたのはやはりイーラの正式な騎士となったラウラの思いを継いでの事なのだろう。そんな彼の印象に残るのはやはりラストのマンイーター後のシーン。イーラ内でラウラとの関わりや周りの人物達への思いを見せられた後、EDでイーラ侵攻の始まり、そして暗転後にシンの独白と共に集合写真を(かつての伴侶の家にて?)焼くカットが。ラウラを喰うシーンは無いが、コアクリスタルが赤くなっている所から察せられるようになっている。最後にセイリュウともう戻れないのか、とのやり取り。バッドエンド確定なのは承知の上だったがやはり心苦しい結末。ここの独白から考えるに恐らく500年後程には全てに絶望していなかったようである。メツとの出会いまでの間に何かがあったであろうことは想像できる。イーラ編を踏まえた上で「あいつの中に真理があった」の発言は重さを感じた。

何より、イーラ編プレイ後に本編の5章でカスミを自ら貫くシーン、各回想やラウラの幻覚を見るシーンなどを見ると、辛さが一層増してくる。自分たちの全てを奪った仇敵のブレイドとして行動し、その上本来の名前すら奪われた最愛の人間そっくりの相手を斬るその感情やいかに。改めて見直してみるとシンにとってかなりキツイ展開だったのだと気付く。あくまでレックスが主人公の本編だったが、視点を変えるとまた別のストーリーが見えて来る。

 

ラウラ

ラウラもマルベーニなどにも劣らない程厳しい過去が明らかとなった。シンとの同調後逃げ出して傭兵生活の後、イーラ編内で母親を亡くし、騎士の称号を得てイーラのために動くも最後はアーケディアの侵攻を受け…。それこそマルベーニのように破滅願望へと至らなかったのはシンや周りの人のおかげであろうか。同調年数から言ってかなりの期間を彼と過ごしているようで(ラウラさんにじゅうななさい)、それだけに本編回想での「絆が消えるのが寂しいよ」が響いてくる。もっともその言葉がある種の呪いとなってしまったわけだが…。本当のラスボスとして因縁のゴウトが最後にブレイドイーターの失敗作として立ちはだかる訳だが、メツではなくわざわざゴウトを持ってきたのはシン、ラウラの過去への決別を表しているのではないかと感じた。あれはラストにしてゼノブレイド2トップの気持ち悪さであった。

シリアスな部分だけでなくずっきゅーん等迷言も残しており、にじゅうななさいにして独り身な理由は色々察せられるのであった。

 

アデル

アデルは本編だと陰険ダンジョンクリエイター…ではなく、断片的にしか語られなかったがその人物像がはっきりした(陰険なんて事は全くない風評被害である)。人望は厚く、子供っぽさを残しながらも大局を見れる王族としてふさわしい英雄。しかし天の聖杯の全てを受け止めるには抱えるものが多過ぎた、と…。完全にヒカリの保護者状態であり、信頼しているものの一線を引いてるように感じられた。メツの力やデバイスを見せられ、その上制御しきれていない兵器にも等しい存在を受け入れるのはアデルのような立場の人間では不可能であろう。そういった観点からレックスがいかに主人公をしていたかがわかるようになっている。あの真っ直ぐさこそが必要だったのだと。

アデルもまたEDでかなり苦しい結末を迎えている。天の聖杯の暴走を制御出来ず祖国を破壊させてしまい、その力の濫用を防ぐため第三の剣、天の聖杯共に封印へ。古代船を沈める時の表情は見るに堪えない。その後表舞台へ出てこなかったのも頷ける。

…ところでエルピス霊洞は代々イーラ王家の墓だったようで特にアデルがどうこうという訳ではなかったらしい。汚名返上。しかし、建築が趣味でメツを封じた後は畑でも耕してとのコメントがあった。つまり…?

 

ヒカリ

ヒカリはイーラ編で成長していく姿が見られた。キズナリングの最後にガールズトークが置いてあるのも感慨深い。アデルらと共に人との触れ合いを通して絆を深めていくも最後は…。本編で見られた目の死んだヒカリがあのような流れで出て来るとは何となく予想はできていたもののキツイ。これはイーラ編全般に言えることなのだが、ほぼ全ての行動がバッドエンドへの前振りなので終盤に近付くにつれ辛くなってくる。イーラを破壊しながら助けての言葉と共に視たのは未来視であろうか、レックスとの出会いを断片的に見たようだが、あれはどちらかというとプレイヤー向けの伏線のように感じた。

それにしてもホムラ誕生の瞬間が弟分のミルトの死を目の当たりにし、そこでサタヒコに拒絶された時だったとは…。イーラ内に残るよう自分が言い聞かせ、その上自分で破壊してしまった事への自責の念やら様々なものに耐えきれなかった、という事か。本編で自らの消滅を望んでいた事が明かされた時、プレイヤー側からしてみれば断片的な理由しか与えられていなかった訳だが、イーラ編をプレイするとはっきりその理由が伝わって来る。別人格を作ってひきこもるのも、自身の消滅を望むのも、今ならよくわかる。

 

まだまだ書きたい事はあるがキリが無くなるので特に印象深いこの4人で。

 

また、シナリオに関して演出として良かったのはヒトノワシステム。シナリオ進行に必須となるが、その理由は納得できるもの。ラウラが騎士となりイーラの人々から認められ、絆を深めた後にイーラを沈め、上げてから落とす。この落差を突きつけるデザインはプレイヤー側にも絶望を突きつけるのにある意味いいつくりである。正直な所シナリオ終盤にヒトノワ全ロストとかやって来るのではないかと予想(期待?)していたがさすがにそこまで鬼畜ではなかった。

 

話題は逸れるが、メツとの戦闘でセイレーンバトルが繰り広げられた時は興奮した。出オチのサーペントさんとはえらい違いである。あれを見ていたらセイレーンに乗りたくなってきたのでゼノクロ2でお願いします。

 

総じて、本編のいい補完になるシナリオだったと思う。プレイした人はぜひ本編のムービーを見直してみて欲しい。もちろんもう少し語ってほしい部分が無いわけではないが(ユーキディウム絡みとかシン、メツ、サタヒコ合流までの流れとか)、見たかったものはだいたい見れたので満足。

何より、ほとんど新規のようなゲームに加え本編での追加内容等も考えると、圧倒的なボリュームのDLCであったと思う。もう更新がないのは寂しいが、これからの別作品に期待したい。

 

雑記

気づけばブログ開設から1年が経過していたらしい。記事の投稿ペースがあれな上に大半がゼノブレのことばっかりだったが楽しい1年であった。これからもちょくちょく書いていくつもり。