ゲーマー回顧録

雑食ゲーマーが色々語る

難しいと不快の違い【ホロウナイト】

E3にてスイッチ版が発表、配信されたホロウナイト(Hollow Knight)。1500円という安価なインディータイトルとは思えない程のクオリティ、ボリュームでとてもいいゲームだった(が書き留めておきたいことがある)ので今回はこれについて書いていく。

概要

どんなゲームかざっくり言ってしまえばゼルダの伝説メトロイドに限りなく近い2D探索型アクションゲームといったところである。steamでタグ付けられているジャンル名を使うならばメトロイドヴァニア。ムシの世界を舞台とし、過去に滅びた国が存在するハロウネストという遺跡を探索していく。探索の過程でボスを倒したり隠し通路なんかを探しながら様々なアイテムを入手し、そのアイテム(二段ジャンプだったり壁キックだったり)で行動範囲を広げてまた新たな地へ、という流れで進んでいく。

地下奥深くまで広がるハロウネストの探検

遺跡はかなりの広さがあり、アイテムを入手する度に行ける範囲が広がるのでどんどん奥へ進みたくなる。意外な場所でエリア同士が繋がっていたりと探索の楽しさは尽きない。

エリアのバリエーションも豊富で、暗い洞窟や森、そして過去の栄華が伺える国の廃墟などなど、どこも魅力的な雰囲気を持っている。そしてエリア毎のBGMも秀逸で、後述するストーリーやデザインと合わさって独特の感覚を味わわせてくれる。特に好きなのは涙の都というエリアである。過去に滅びた都という儚さ、そしてその美しさが共存しているあの雰囲気がたまらない。

語り過ぎないストーリー

ストーリー開始当初、主人公の目的、素性は不明で、それどころか終盤まであまり語られないままシナリオは進んでいく。これまた他のゲームに例えるならダークソウルシリーズなどが近いだろう。探索途中で見つかるオブジェクトや出会うNPC達、それらからこのハロウネストの過去を想像し、補完していくのがメインとなる。

ゲーム途中で手に入る夢見の釘というアイテムでNPC(や一部の敵、更には死体までも)の思考(夢)を見る事が出来るようになる。これもまたストーリーを想像するのに一役買ってくれるいい要素で、中には進行のヒントであったり隠し要素に繋がる事も。

なお詳しい考察等は他でされているようなのでそちらに任せる。

人を選ぶかもしれないデザイン

ムシをテーマとしているため、出て来るキャラクターは敵味方問わずよく言えばキモカワ、はっきり言えば気持ち悪さをどこかに持った独特なデザインである。虫の卵などダメな人は完全に受け付けないであろうブツも出て来るので、このデザインが受け付けない人にはお勧め出来ないのが残念。

戦って楽しいボス達

戦闘は釘で切りつける通常攻撃とソウル(敵を攻撃して得られるリソース)を消費するスペル(魔法)を駆使して行う。これらに加えてチャームという装備品の要素があり、これによって戦闘、探索のスタイルを変える事が出来る。例えばソウル消費量軽減、釘のリーチ増加と、自分の戦い方あるいは敵に合わせた選択が出来る。チャームは装備できる量(スロット)の概念があり、そのスロットに納まるようどのチャームを選ぶかも戦略である。

ボスはエリアの広さ、多さに比べると少ないものの、どれもパターンを掴んで隙に攻撃を差し込むという2Dアクションならではの戦いが楽しめる。前述したチャームの存在もあり、どう攻略するかはプレイヤー次第。苦戦したボスも戦略を変えるとあっさり…なんて事も。

デスペナルティはその場に金を落とし(もう一度デスせずにたどり着ければ回収可能)て最後のセーブポイントまで戻されるといった具合でその辺りもだいたいあの辺のゲームと同じ。ワープポイントを自由に設定できるようになるまで少々リトライが面倒な場所も無くはない。

 

まとめると

2Dアクションが好きなら間違いなくお勧めできる。クオリティ、ボリューム、値段、どれを取っても規格外。さらに驚くべきことに追加コンテンツが無料で配信されている。既に導入済みのものに加え、8月にGodmasterというコンテンツが配信された。

teamcherry.com.au

と、ここまでひたすら良作だと書いていたが、タイトル回収。非常にいいゲームだっただけに気になって仕方がなかった要素がある。ここから若干のネタバレを含むので注意。

 

 

なぜ導入されたのか理解不能

終盤訪れる事が出来るようになるエリアが存在し、そこは収集アイテムを一定量集めないと入れない隠しダンジョンのようなもの。エリアへの入り口や入場条件から考えるにシナリオの根幹に関わるのではとワクワクしながら進んだ筆者を待っていたのは…。

 

それまでの探索と戦闘を楽しむ2Dアクションとは一転、出来の悪いイライラ棒ゲームであった。

 

このゲームにもトゲやダメージトラップが存在し、触れると即死ではなくダメージを受けて近い足場まで戻されるのだが、ここはそれがびっしりと詰まっている。トゲ、落とし穴、移動するダメージトラップ(ノコギリ、五月蠅い)とそれらの隙間を縫うようにして進まなければならない。

ここに至る前も似たようなアスレチック的場面は存在したが、せいぜい手に入れたアイテムで行けるようになる新アクション練習場といったぐらい。

それに比べてここはとにかく酷い。

1.ひたすら五月蠅いトラップ

トラップが移動するノコギリなのだがこれが五月蠅い。キュイーンとプレイしている間ずっと鳴っている。

2.無駄に長くてしつこい

普段のアイテム入手アスレチックを1とすればここは10以上の長さ。進めど進めど終わらない上に失敗すればやり直させられるのだからうんざりする。前述のノコギリも相まってイライラがマッハ。途中リトライ用のセーブポイントは存在するが一定の長さはある。

3.単純につまらない

面白いつまらないの判断は人によるとは思うが少なくとも今までの探索やら戦闘を楽しんでいた身として、ただのイライラ棒はクソと言わざるを得ない。開発者はこれを楽しいと思って入れたのかと問いたくなる。

 下の画像は一例。まだぬるい方である。

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余りにもつまらなくて萎えた。プレイするやる気すら失せるレベルで萎えたのはこれが初めてかもしれない。さらに付け加えると、このエリアには通常エリアのクソさを更に煮詰めたような隠しエリアが存在し、その名も苦痛の道。少し挑戦したものの余りのダルさに引き返した。

萎えに萎えたので攻略を探すとどうやらこのエリアは真エンド到達に必要で苦痛の道はほぼ自己満足用(勲章のようなものと若干のストーリーだけ)らしい。また、いくつか隠しショートカットが存在するようだが、それを使っても相当な長さである。

 

と、このクソステージをプレイしながら考えたのは難しい(けどリトライして突破したい)事と不快(ただひたすらに難しいだけ)の違いはなんだろうという事である。

まず一つ言えるのはストレスの程度。ゲームの面白さは適度なストレスとそれが開放される瞬間にあると思っている。しかしここにおいてはその長さ、しつこさ、そしてSE、と様々な要素によってストレスをかけてくる。

もう一つはゲームに何を期待するのかという話。元から前述したようなギリギリの2Dアクションを期待してプレイしていたのならここまでがっかりはしなかっただろう。ここに至るまでは探索と絶妙な難易度のアクションであったというのに突然のこれである。落差というのも一つの理由になり得る。

最後に一番大きい要素は単純につまらないかどうかという事である。難しいと言っても工夫してどうにかなるものならば試行錯誤を楽しめるだろうが、これに関して言えばただひたすらにイライラ棒。リトライを繰り返しながら適切なボタン入力を決めるだけである。もっとも個人の嗜好にもよるところではあるが。

 

最後に色々書いたがやはり全体を通してみれば面白い事には変わりない。それだけにこれが残念で仕方なかったという感想である。

 

雑記

ここのところ忙しく、更新にえらく間が空いてしまった。この記事も7割ぐらいは先月の時点で書いていたのだが、仕上げるのをすっかり忘れ結局更新は8月末に。DLC配信の予定と書いていたらもう配信されていたというオチ。